富田俊明

プロジェクト

Book of Rocks / Book 1.
スケッチブックにドローイング。 ILIRI Imagining the Land International Research Insutitute, フォウラーズ・ギャップ、NSW州、オーストラリア。2008年



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この本は、風、熱、寒さ、雨、化学変化、人の手などの作用によって変容の過程にある岩を実物大の素描によって記録したもの。
ILIRIのメイン・ステーションから4WDでさらに1時間ほど奥に入ったところに建っているブリキ小屋オーカー・ハウスに居を定め、荒野を歩きまわっては、石ころを実物大で描いた。前もって聞いていたように、すぐに石ころの中に石器を見つけるようになり、それが興味の中心になった。1000の石器のドローイングは1000の作り手との対話となり、石器の背後に働いているマトリックスがぼくの心にダウンロードされてきた。ついには、用途別の形態としては説明のつかない強烈な特徴を発見したとき、それが数人の作り手の技術的傾向または嗜好に起因するものと分かった瞬間、特定の個人としてのその数人の作り手たちの姿が生き生きと立ち上がってきた。無人の荒野で、ぼくは確かにその土地に存在した人々に出会ったのだ。
無作為から秩序へ、不規則から規則へ、石器はまさに、人間の文化と自然とが打ち合わさる地点で生まれ、数万年の間、この土地で無数の父から無数の息子たちへ受け継がれてきた。
この岩と父と息子のイメージは、ハート・マウンテンのプロジェクトに引き継がれるとともに、Book of Rocksは石器時代の技術を使った次の章へと展開される。